保護者カウンセリング


  軽度発達障がい児は特有の特性が複雑で多様性があり、分かりにくい子どもです。分かりにくいが故に保護者の皆さんは日頃の子育てに戸惑いや不安、悩みを抱えているのが実情ではないでしょうか。これらの戸惑いや不安、悩みを解消する方法、子ども自身の特有な特性であるこだわりや転導性を抑制する方法、不登校防止や問題行動を解消する方法などを保護者にアドバイスするために、NPO法人遊育・遊びを育てる会は「保護者カウンセリング」に取り組んでいます。  子どもの成長にとって、子どもを取り巻く環境や周囲の人たち (保護者、教師、保育関係者など) の子どもへの関わり方は大きな影響力を持っています。特に保護者は養育者として子どもに対する最も身近な関わり手でもあるのです。この保護者カウンセリングは、子どもの興味の幅を広げ、発達のアンバランスを解消し、国語や算数の学習の効果を高めるために、家庭内においての子どもに対する接し方、関わり方、遊ばせ方、ほめ方、援助のし方などを保護者の皆さんに獲得していただくために行うものです。

保護者カウンセリングを受けるにあたっては、子どもさんのプロフィール用紙、観察ノートを保護者自身に書いていただきます。それらの中に子どもさんのさまざまな情報が入っています。それを読むことで、子どもさんの発達の遅れや問題点を把握します。

 また、NPOが行う事業「あそびのひろば」の集団指導の中でも、子どもさんが集団の中でどのような行動をとるのか、他の子どもとの関わりはどうなのか、問題行動やこだわり、転導性はみられるのか等、それぞれの子どもさんの集団の中での行動観察を通し、社会性という面からも子どもさんの発達の遅れや問題点を把握します。

 我が子の教育の第一歩は、保護者が軽度発達障がい児を正しく理解することです。保護者が我が子の特有の特性を理解し、能力の高いところ低いところ、発達段階のレベル、問題行動や算数・国語につまずいている原因などを理解したうえで、我が子への関わり方、接し方、遊ばせ方、学習のさせ方を工夫することが重要です。

 我が子を正しく理解していない保護者は、家庭内での関わり方、接し方、遊ばせ方、家庭学習のさせ方などに関して、よく理解できないままに保護者主導で対策を打つことになります。残念ながら、その対策は子どもに合っていないことが多いのです。そのために子どもが荒れたり、パニックになったりするなどの問題行動が発生し、二次障害となります。最悪の場合保護者との関係が険悪な関係となることも考えられます。

 特に、こだわりをかかえている子どもはこだわりのある遊びを長く続けさせると発達に悪い影響を与えてしまいます。なるべく年齢の低い段階から子どもの興味の幅を広げ「こだわり」から抜け出せるように支援する必要があります。保護者は「こだわり」について「何がこだわり」なのかを理解できていないケースが多く見受けられます。こういった場合には、何がこだわりなのかをプロフィール用紙、観察ノートを活用して保護者に理解していただくことも、保護者カウンセリングの役割です。

  保護者の方は我が子の多くの問題点の中から、どこから、どのような対策を打てば良いのか分かりにくいのです。そのため、保護者の不安、悩み、心配事が増える原因になります。その多くの問題点の中から優先順位を付け、子どものまっすぐな発達が促されるように、対策を一緒に考えるのが保護者カウンセリングです。

 保護者の不安や悩みを解消させるための方法として、保護者の皆さんに子どもさんのこれからの見通しを分かりやすく説明することを心がけています。

そのためには、プロフィール用紙、観察ノートを活用して、子どもさんの発達段階や問題点を正確に把握するとともに集団の中での行動や様子を正しく評価し、今後の発達促進や問題点改善のために現実的な目標を立てることが必要となります。

 保護者が現実的な目標を立てることで、保護者の不安や悩みを解消しておかないと、子どもにも悪影響が及びます。保護者が子育てに不安や悩みを抱えていると、子どもも保護者の不安を敏感に感じ取り、子どもさん自身も不安になり二次障害である問題行動に発展することもあります。

 保護者カウンセリングは、理事長の津田誠一が担当します。初回のカウンセリングでは約2時間使い、前半部分は子どもさんの特有の特性や問題点を保護者の皆さんに分かりやすく説明し、後半部分ではこれからの対策について説明します。これからの対策に沿ってご家庭で実践していただくことも増えるため、保護者の方の負担は重くなります。私は、すべての問題の解決を保護者に求めているのではありません。保護者の皆さんができる範囲で一生懸命頑張れば、子どもさんもそれに応えてくれます。保護者の皆さんには無理をせずある程度の余裕を持ってカウンセリングに向き合っていただきたいと考えています。





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